残業代が「出ない」と言われたときのチェックリスト
「うちは残業代が出ない会社だから」「君は管理職だから」と言われ、長時間働いても手当がつかない。 そんな時に「本当にそうなのか?」を確認するためのチェックリストです。法律上の例外(本当に出なくて良いケース)は意外と限られています。
1. まず結論:残業代が出ない主な理由は「制度」「区分」「計算」の3つ
会社が支払わない理由として挙げるのは、大きく分けて以下の3パターンです。まずは自分がどれに当てはまると言われているか確認しましょう。
- ① 制度の理由:「固定残業代(みなし残業)込みだから」
- ② 区分の理由:「管理職(管理監督者)だから」
- ③ 計算の理由:「所定時間内(法内残業)だから」や「30分単位だから」
2. チェック1 固定残業代(みなし残業)が入っていないか
「基本給に含まれている」と言われるケースです。この場合、以下の点を確認する必要があります。
- 雇用契約書や就業規則に「固定残業代=何時間分か」が明示されているか?
- 実際の残業時間が、その「固定分」を超えていないか?
もし「月40時間分」と決まっていて、実際には60時間働いているなら、差分の20時間分は追加で支払われる必要があります。
ケーススタディ1:月給25万、残業20hなのに“固定残業代込み”と言われた
給与明細を確認し、「基本給」と「固定残業手当(職務手当など)」が分かれているか見ます。混ざっている場合は、契約書で「基本給20万、固定残業5万(30時間分)」のように内訳が決まっているはずです。 20時間しか残業していないなら固定分(30時間)の中に収まるため追加支給は0円ですが、30時間を超えたら追加が必要です。
3. チェック2 管理監督者扱いになっていないか(深夜は別)
「店長になったから」「課長だから」といってゼロになるケースですが、名ばかり管理職の可能性があります。
また、もし本当に法的な管理監督者であったとしても、深夜割増だけは免除されません。
ケーススタディ2:管理職扱いで残業0円だが、深夜がある
22時以降に働いた記録があるか確認してください。管理監督者であっても、22:00〜翌5:00の労働には0.25倍の深夜手当を支払う義務があります。これが支払われていないなら違法性が高いです。
4. チェック3 端数処理(切り捨て)や所定労働時間の取り方が不自然でないか
「30分未満切り捨て」といったルールで、日々の残業が削られていませんか?
落とし穴:端数処理
法律上は「1分単位」が原則です。月単位の合計で30分未満を切り捨てる特例はありますが、毎日切り捨てるのは原則として認められません。
5. チェック4 休日出勤・深夜労働が別計算になっていないか
通常の平日残業は固定残業代に含まれていても、休日出勤や深夜労働は別枠になっている契約も多いです。明細で「休日手当」「深夜手当」の欄が0になっていないか確認しましょう。
6. チェック5 証拠の残し方(勤怠・メール・チャット・給与明細)
いざ会社に確認したり相談したりする際、証拠がないと「そんなに働いてたっけ?」と言われてしまいます。
- ✅ 給与明細(手当の内訳が分かるもの)
- ✅ 雇用契約書・労働条件通知書(契約内容が分かるもの)
- ✅ 就業規則・賃金規程(職場のルールブック)
- ✅ 勤怠記録(タイムカード、勤怠システム)
- ✅ 実態の記録(業務メール、チャットの送信履歴、交通系ICカード履歴、業務日報など)
よくある質問 (FAQ)
「固定残業代込み」と言われたら、残業代は一切出ないのですか?
一切出ないとは限りません。固定残業代は「何時間分を含むか」が前提で、含む時間を超えた分は別途支払いが必要になるのが一般的です。給与明細や雇用契約書に、固定残業代の金額と時間数の記載があるかを確認してください。
管理職(管理監督者)なら残業代はゼロで問題ないですか?
管理監督者に該当するかは実態で判断されます。また、管理監督者でも深夜割増(22時〜翌5時の0.25)は支払いが必要です。名ばかり管理職のケースもあるため、権限・勤務実態・裁量の有無などを確認します。
端数を「30分単位」で切り捨てても良いのですか?
一律の切り捨ては賃金未払いにつながる可能性があります。勤怠の端数処理ルールは会社ごとに異なりますが、常に不利になる運用はトラブルになりやすいので、就業規則や賃金規程の記載と実運用が一致しているか確認してください。
何から確認すれば良いですか?
まずは給与明細(時間外/深夜/休日の項目と単価)、雇用契約書(固定残業代や所定労働時間)、勤怠記録(打刻、申請、メール等)を揃えるのが近道です。
相談先はどこが良いですか?
社内の人事・労務への確認のほか、労働基準監督署、社会保険労務士、弁護士などが代表的です。証拠(勤怠と明細)を整理してから相談するとスムーズです。
関連リンク
労働基準法(e-Gov)
最終更新日:2026年2月7日
監修・運営:残業代計算ツール事務局 / fin-calculator.com 編集部